従業員の奨学金返済を支援する中小企業を応援!「中小企業奨学金返済支援制度事業補助金」とは?

大学などへの進学にあたり奨学金を利用し、卒業後も返済を続けている方は少なくありません。

若い世代にとって、奨学金の返済は生活や将来設計に関わる大きな負担となることがあります。

こうした状況を踏まえ、従業員の奨学金返済を支援する制度を設けている中小企業を応援するための補助金があります。

今回は、兵庫県の「中小企業奨学金返済支援制度事業補助金」について、制度の概要や対象となる企業・従業員の要件、補助金額などをご紹介します。

どのような補助金なの?

この制度は、従業員の奨学金返済を支援する中小企業に対して、補助金を交付するものです。

若い世代の地元への就職を促進するとともに、中小企業の人材確保につなげることを目的としています。

誰が補助金を交付するの?

本制度は、兵庫県と連携して、一般財団法人兵庫県雇用開発協会が補助金を交付する仕組みです。

補助金の申請や交付に関する手続きは、原則として企業が行います。

従業員個人が直接この補助金を申請する制度ではありません。

どのような支援が対象になるの?

企業が、従業員の奨学金返済を支援するために、手当や賞与への加算などの方法で金銭を支給する場合が対象となります。

また、企業が従業員に代わって奨学金を返済する、いわゆる「代理返還」も対象に含まれます。

ただし、支援制度の内容が就業規則や賃金規程などの文書で明確に定められていることが必要です。

対象となる企業の要件

補助金の対象となる企業は、原則として、兵庫県内に本社を置く中小企業です。

また、京都府内に本社を置く中小企業についても、京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」の対象となっている場合は、本要綱上の対象企業に含まれます。

ただし、企業の規模や事業内容などについて、要綱に定められた要件を満たす必要があります。

中小企業の範囲

中小企業に該当するかどうかは、業種や資本金、従業員数などによって判断されます。

例えば、製造業やサービス業などでは、中小企業に該当する基準が異なります。

また、一定の専門士業法人や、特定の会社の支配下にあると認められる会社などは、対象となる中小企業から除外される場合があります。

そのため、単に会社の規模が小さいという理由だけで対象になるとは限りません。

なお、労働関係法令に違反している企業や、暴力団との関係があるなど、補助金を交付することが適切でないと認められる企業は対象外となります。

対象となる従業員の要件

補助金の対象となるのは、対象企業に勤務する従業員のうち、次の要件をすべて満たす方です。

① 正社員であること

雇用期間の定めがなく、企業で正社員として取り扱われていることが必要です。

② 兵庫県内の事業所に勤務していること

補助金の申請日において、兵庫県内に所在する事業所に勤務している必要があります。

③ 日本学生支援機構の奨学金を利用していること

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)から奨学金の貸与を受け、申請日において返済していることが必要です。

ただし、学校を卒業してから7か月未満で、まだ返済が始まっていない方については、この要件の例外となります。

④ 年度末に40歳未満であること

申請日の属する年度の3月31日時点で、40歳未満であることが必要です。

⑤ 所定の時点まで同じ企業に在籍していること

申請日の属する年度の2月末日まで、申請時と同じ企業に在籍している必要があります。

ただし、2月末日より前に実績報告を行う場合は、その報告日が基準となります。

⑥ 個人事業主と同居する親族ではないこと

個人事業主と同居している親族は、原則として対象外です。

ただし、勤務実態や勤務条件がほかの従業員と同様であると認められる場合は、対象となることがあります。

以上のように、年齢だけでなく、雇用形態、勤務地、奨学金の種類、在籍状況など、複数の要件が設けられています。

補助金はいくら受け取れるの?

補助金額は、企業が従業員に支給する奨学金返済支援の手当等と、従業員本人の年間返済額などをもとに計算されます。

要綱では、次の2つの額を合計して補助金額を算定する仕組みとなっています。

① 企業が支給する手当等に対する補助

年間返済額の3分の1以内を基準とし、企業が当該年度の2月末日までに従業員への支給を完了した額の2分の1と、6万円を比較して、いずれか低い額が補助額となります。

② 従業員の年間返済額に対する補助

年間返済額から、企業が手当等として支給する額を差し引いた額などをもとに算定し、6万円を上限として補助されます。

なお、兵庫県以外の奨学金返済支援制度によって補助金を受けている場合は、その補助金額を考慮して算定されます。

このように、補助金額は一律ではなく、企業の支援額や従業員の年間返済額などによって異なります。

申請にあたっては、具体的な支給額や算定方法を確認することが大切です。

補助を受けられる期間

補助対象となる期間は、企業の要件によって異なります。

要綱では、次の3つの区分が設けられています。

  • 最長5年間(60か月):兵庫県内に本社を置く中小企業
  • 最長10年間(120か月):所定の認定・宣言制度のうち、2つ以上の要件を満たす企業
  • 最長17年間(204か月):所定の認証・認定制度などのうち、2つ以上の要件を満たす企業

10年間の区分では、SDGs宣言企業、フレッシュミモザ企業、ワーク・ライフ・バランス宣言企業などの制度が対象となります。

17年間の区分では、SDGs認証企業、ミモザ企業、ワーク・ライフ・バランス認定企業またはワーク・ライフ・バランス表彰企業などが対象となります。

それぞれの区分について、所定の制度のうち2つ以上を取得していることが必要です。

また、補助対象期間は、企業に採用された日の属する月を1か月目として計算します。

転職前の企業で本制度の対象となっていた場合は、その期間が通算されます。

なお、実際に適用される期間については、企業の認定状況などを確認する必要があります。

申請から補助金の受け取りまで

補助金の申請や交付に関する手続きは、企業が行います。

交付要綱では、おおむね次の流れが定められています。

① 企業が補助金の交付を申請する

所定の申請書に、従業員の雇用状況や奨学金返済額、企業の支援制度などを確認できる書類を添えて提出します。

主な添付書類には、次のものがあります。

  • 雇用契約書または雇入れ通知書の写し
  • 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し
  • 従業員の住所や生年月日を確認できる書類
  • 従業員の勤務地が分かる書類
  • 奨学金の返済額などを確認できる書類
  • 就業規則や賃金規程など、支援制度の内容が分かる書類
  • 県税に滞納がないことを証明する書類など

企業の状況によって、追加の書類が必要になる場合もあります。

② 審査を受け、交付決定を受ける

提出された書類の審査などを経て、補助金の交付が適当と認められた場合に、交付決定が行われます。

③ 企業が従業員に支援金を支給する

企業は、就業規則や賃金規程などに基づき、従業員に奨学金返済支援の手当等を支給します。

④ 実績報告を行う

企業は、従業員への支給実績が分かる給与明細書や賃金台帳などを添えて、実績報告を行います。

⑤ 補助金額が確定し、企業に交付される

実績報告の審査を経て補助金額が確定した後、企業からの請求に基づいて補助金が交付されます。

なお、交付申請は年度ごとに行う必要があります。

申請期限や必要書類などの詳細については、実際に申請する年度の案内を確認しましょう。

企業が制度を利用する際に注意したいこと

本制度を利用する際には、いくつか注意しておきたい点があります。

支援制度を文書で明確に定める

従業員への支援は、就業規則や賃金規程などで明確に定めておく必要があります。

制度の内容や支給方法を事前に整理しておくことが大切です。

補助対象となる従業員の要件を確認する

正社員であること、年齢、勤務地、奨学金の種類、在籍状況など、すべての要件を満たしているか確認する必要があります。

補助対象期間を確認する

企業が取得している認定や認証などによって、補助対象となる期間が異なります。

長期間の支援を検討している企業は、該当する区分や必要な認定等を確認しましょう。

申請期限や最新の制度内容を確認する

補助金には、申請期限や予算などの条件があります。

また、本記事は交付要綱に基づく概要であり、個別の企業が実際に補助を受けられるかどうかは、別途確認が必要です。

申請を検討する場合は、最新の募集案内や申請要領などを確認することをおすすめします。

まとめ

中小企業奨学金返済支援制度事業補助金は、従業員の奨学金返済を支援する中小企業を応援する制度です。

企業にとっては、若い世代の人材確保や、従業員が安心して働き続けられる職場づくりを考えるうえで、活用を検討できる制度の一つといえるでしょう。

一方で、対象となる企業や従業員には一定の要件があり、補助金額や補助対象期間も企業の状況などによって異なります。

制度の利用を検討されている企業は、要件や申請手続きを確認し、自社で活用できるかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。