2026/9/22の新聞に、墓じまいをめぐる寺院とのトラブルについて取り上げられていました。
少子高齢化や人口減少が進むなか、お墓を守っていくことが難しくなり、墓じまいを検討する方も増えているようです。
お墓は、ご先祖様を供養する大切な場所であると同時に、将来にわたって管理していく必要のあるものでもあります。
今回は、墓じまいをめぐる問題について考えるとともに、実際に墓じまいを検討する際に知っておきたいことを整理してみたいと思います。
墓じまいを考える人が増えている背景
お墓を守っていくことが難しくなる背景には、さまざまな事情があります。
- お墓を継ぐ人がいない
- お墓から遠く離れた場所に住んでいる
- 高齢になり、お墓の管理やお参りが負担になっている
- 子どもや親族に将来の負担を残したくない
このような事情から、現在のお墓を撤去し、ご遺骨を別の墓地や納骨堂などに移すことを検討する方がいます。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、2024年度の改葬件数は176,105件となっています。なお、これは遺骨の移動に関する統計であり、墓じまいそのものの件数と完全に一致するものではありません。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例」
寺院との関係で悩むことも
墓じまいを進める際、悩みの一つとなるのが、これまでお世話になってきた寺院との関係です。
寺院の檀家となっている場合、墓じまいに伴って檀家をやめることについて、寺院側と話し合う必要が生じることがあります。
その際に話題となるのが「離檀料」です。
離檀料については、金額や支払いの必要性をめぐって意見が食い違い、話し合いが難しくなるケースもあります。
ただし、すべての寺院で同じ対応がなされるわけではありません。寺院との関係やこれまでの経緯によって事情は異なります。
墓じまいを考え始めた段階で、まずは寺院に事情を説明し、今後の進め方について相談することが大切ではないでしょうか。
墓じまいには行政手続きも必要
墓じまいというと、墓石の撤去をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、現在のお墓からご遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す場合には、一般に「改葬許可」の手続きが必要になります。
手続きでは、現在のお墓がある市区町村への申請や、墓地管理者による証明などが関係します。
また、移転先の墓地や納骨堂を決めること、必要書類を確認することなど、事前に整理しておきたい事項もあります。
自治体によって必要書類や手続きの案内が異なる場合もあるため、まずは現在のお墓がある市区町村の窓口で確認するとよいでしょう。
親族間での話し合いも大切
お墓は、特定の一人だけではなく、複数の親族にとって大切な場所であることも少なくありません。
そのため、墓じまいを進めるにあたっては、費用の負担や今後の供養方法、ご遺骨の移転先などについて、親族間で意見が異なることも考えられます。
後になってトラブルにならないよう、できるだけ早い段階で関係する親族と話し合い、考えを共有しておくことが望ましいと思います。
墓じまいを考え始めたら、何から取り組めばよい?
墓じまいを検討する際には、次のような点を一つずつ整理していくと、進め方が見えやすくなります。
墓じまいを考えるときの確認事項
- 現在のお墓の所在地と墓地管理者を確認する
- 墓じまいを希望する理由や今後の供養方法を整理する
- 親族と相談し、意向を共有する
- 寺院や墓地管理者に今後の進め方を相談する
- ご遺骨の移転先を検討する
- 市区町村の窓口で改葬許可の手続きや必要書類を確認する
- 墓石の撤去などに必要な費用や日程を確認する
すべてを一度に決めようとせず、関係者への相談と必要な手続きを順番に進めていくことが大切です。
行政書士として考えること
墓じまいは、ご家族の事情やこれまでの寺院との関係など、さまざまな思いが関係する問題です。
また、改葬許可申請などの行政手続きも伴うため、何から始めればよいのか分からず、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
行政書士は、法令に基づき、改葬許可申請に関する書類の作成など、行政手続きに関する支援を行うことができます。
一方で、離檀料をめぐる紛争など、法律上の争いについては、弁護士など適切な専門家への相談が必要となる場合もあります。
それぞれの専門家が対応できる範囲を踏まえながら、必要な支援につなげていくことも大切だと考えます。
おわりに
墓じまいは、単にお墓を撤去するというだけではなく、ご先祖様への思いや、ご家族のこれからの暮らしにも関わる問題です。
だからこそ、費用や手続きだけでなく、ご家族や寺院との関係にも目を向けながら、納得できる方法を考えていくことが大切なのではないでしょうか。
今後も、暮らしのなかで関わるさまざまな制度や手続きについて、できるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の事情によって必要な手続きや法的な判断は異なります。具体的な手続きについては、関係する自治体や専門家にご確認ください。
